フランケンシュタインは泣ける小説だった!

フランケンシュタインといえば、頭にボルトの刺さったあの怪物が人間を襲うというホラーのイメージが強いですが、実は原作は、怪物の悲哀を描いた泣けるお話だったんです・・・!

小説「フランケンシュタイン」の誕生

作者 メアリー・シェリーについて

メアリー・ウルストンクラフト・ゴドウィン・シェリー(Mary Wollstonecraft Godwin Shelley)。

イギリスの小説家。

他の作品に、『マチルダ』、『最後のひとり』など。

恋人とかけおち

メアリーの父、ウィリアム・ゴドウィンさんは政治学者・小説家。

メアリーは父の下へ出入りしていたうちのひとり、詩人のパーシー・ビッシュ・シェリーと親密になります。

しかし交際を父ゴドウィンに反対されたため、二人は駆け落ちします。

パーシー21歳、メアリ16歳!若い!!

メアリーのこの情熱的な性格は、小説の中にも怪物が激しく愛を求めるところに表れているのかもしれません。

『フランケンシュタイン』誕生のきっかけ

この作品ができたきっかけは、湖畔の別荘での退屈しのぎから。

別荘の主で、詩人のジョージ・ゴードン・バイロンが、あるゲームを発案します。

各々が幽霊話を創作しようと。

このときメアリーが創作したイメージが「フランケンシュタイン」の元となります。

その後、夫のすすめもあり、「フランケンシュタイン」を長編に書き上げ、19歳の時にそれが出版されました。

実は『吸血鬼』の原型も・・・

この幽霊話創作ゲームに参加していた医師ポリドリさんは、この時創作した話をもとに『吸血鬼』を書き上げました。

有名作品が2つも誕生するきっかけとなった。すげぇ一夜だな。

『フランケンシュタイン』ってどんな物語?

タイトルのフランケンシュタインって・・・

フランケンシュタインとは、怪物の名前だと思われていますが、実は違います。

怪物を生み出した科学者の名前が、フランケンシュタインさん。

この怪物は、名前すら与えられていないのです。

生まれてはみたものの

科学者の探求心により生み出された怪物。

しかし生みの親フランケンシュタイン君は、自分が生み出したものの醜い姿を目にしたとたん、恐ろしくなってしまいます。

「なんて醜いものを創り出してしまったのだ・・・」とスタコラ逃げ出します。 「いや、醜くなければいいんかーい」とか、「いや、逃げるんかーい」とか、「ほったらかしかーい」とか、思わずつっこんでしまいます。

本物の怪物へ・・・

その後怪物は、その醜い姿のせいで人間からひどい仕打ちを受けます。

心には復讐心が芽生え、そしてついに本当の「怪物」になってしまう・・・  これは、愛を求めた怪物の、哀しい物語なのです。

読んでみて思ったこと

「怪物」って何?

名前がないから怪物怪物って言ってるけど、彼も最初は、見た目こそ醜いけど自然を愛で、文学に感動し、家族の愛を見て涙する、優しい心の持ち主だったのです。

しかし、愛を求めて裏切られ・・・を繰り返すうちに、恐ろしい考えと行動をするようになってしまった。

彼が本当の怪物になってしまったのはこの時。

そう、彼は生まれながらの怪物ではないんです。

では、何が彼を怪物にしたのか・・・と考えると、心が痛い・・・

ゴメンネ、カイブツ。

科学者=悪いヤツ?

ただただ探求心から怪物を創り出し、それを醜いからといってほっぽりだして逃げ出した、フランケンシュタイン君。

やなやつ~と思うのですが、なんか、科学者の印象が悪くなってない?

探求することは、悪い事ではありません。

それにより解明されたことや創り出されたものが恐ろしいものであっても、それをどう使うかは、その人次第なのです。

だから、創り出した「科学者」が悪いのではなく、それを使った「人」が悪い。

フランケンシュタイン君は、「科学者」としてはすげぇ人だったけど、「人」としては考えの浅い、エゴイストでヤなやつだったなぁ。

おすすめ読書環境

この物語は、北極探検に向かう船の上でフランケンシュタイン君が船長に語るというシチュエーション。

BGMはやっぱり、ロシア~ンなクラシックですかね。

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番・第3番

怪物の哀みがぶぁ~っとくるところで、ちょうど曲がぶぁ~っと盛り上がって、私は号泣しました!

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